光合成する本棚

こっそりひっそり

長月、アイスとフルムーン。

最近少しおえかきの趣味に時間をかけすぎなきらいもあり、新学期以降なかなか本が読めていません。図書館の本を(借りなおそうにも開館時間に行くことができず)読みかけで返却したのは哀しかったです。

 

気力の削れてしまった時などは甘いものに加え油分の多めのものも欲しくなる気がしています。結論としては「疲れたときはアイスがおいしい!」になるのですが、最近気温も下がってきたのでなかなか気軽に食べられないのが難点です。

9月のいつかのバイト帰りに月がまんまるなことに気づいて感動しながら公園で食べたアイスは寒くてもおいしかったです。

 

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2018.09.23 読了

クレヨン王国の十二か月』

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福永令三

講談社 青い鳥文庫 1980年

 

「その十二のけってんとは、一つ、ちらかしぐせ。二つ、おねぼう。三つ、うそつき。四つ、じまんや。五つ、ほしがりぐせ。六つ、へんしょく。七つ、いじっぱり。八つ、げらげらわらいのすぐおこり。九つ、けちんぼ。十、人のせいにする。十一、うたがいぐせ。十二、おけしょう三時間。

(「ふしぎな大みそか」)

 

王妃の悪癖に嫌気がさして家出してしまったゴールデン国王。1年以内に連れ戻さないと王国が滅んでしまうらしく、小学生のユカはシルバー王妃に誘われ12の月と12の町をふたりで旅していくことになる。

 

クレヨン王国は小学生のころ図書館に行っては次から次へと借りまくっていた最強のシリーズ。『十二か月』は一作目なので世界観がまだあやふやだったり後の作品とずれていたりするところもあるけれど、かえって独立の一冊としてのまとまり具合はかなり高い。

 

読んだ範囲での話にはなるが、クレヨン王国の長編には

クレヨン王国内のキャラクターがクレヨン王国で冒険する(『三日月のルンルン』など)

クレヨン王国外のキャラクターがクレヨン王国で冒険する(『パトロール隊長』など)

クレヨン王国外のキャラクターがクレヨン王国の力を借りて外の問題を解決する(『黒の銀行』など)

 の3つ(とその組み合わせ)のパターンが多くみられると思っている。『十二か月』だと②をメインとして+①要素という感じ。

なんとなく初期は②や③が多く、①のみというようなものは王国の仕組みや世界観が確立されてきて、かつ読者に認識されて愛されている王国内のキャラクターたち(例えばアラエッサ&ストンストン)が増えてきたあたりから可能になってきたのかなという気がしている。『十二か月』のユカなどはまさに「訳のわからない異世界」のなかで読者が同じ目線に立てる依代としてのキャラクターなので、シリーズとしての積み重ねの結果それが必要でなくなるというのはすごいことだなとなんだか勝手に嬉しくなった。

 

ここまで例などで出した以外にも個人的に好きで印象に残っているのをいくつか(キリが無くなりそうなので少しだけ)あげると、例えば『月のたまご』(の1冊目)。なんといってもキャラクターが良くて、サードが良い。まゆみも良い。人気のアラエッサとストンストンもここが初出。(ふと調べたら、まゆみが小学6年生と出てきたことにかなり衝撃を受けている。大人すぎる……。)

『なみだ物語』は短編集なのだけれど、そのうちの「赤信号のなみだ」が小学生のころ通っていた塾で国語の教材にでたことがあり、良い意味でかなり心をえぐられた。

 

クレヨン王国の話をしていたらさらにいろいろ懐かしくなって読みたくなってきてしまった。もう大人だし、だいぶんお世話にもなったのだから、好きな作品は買って揃えていくべきかもなぁ。