光合成する本棚

こっそりひっそり

東京都美術館 : BENTO おべんとう展

東京都美術館のBENTO おべんとう展(BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン|東京都美術館)。ごはんを持ち歩き可能な入れ物に詰めればそれはお弁当だし、システム的には簡単なものだが、ノスタルジックなイメージが何故か「おべんとう」には付きまとう。

f:id:lleeaaff:20181006205906j:image

会場の中は3つに分かれ、階も2つにまたがっている。

 

順路を辿るとまずは写真やお弁当箱、絵や映像のあるコーナー。

展示されていた日本の昔のお弁当箱はお重が多く、複数人での行楽の際に使うのだろうと考えられた。ケのお弁当はどういう形で持ち歩かれていたのだろう。世界各国のお弁当箱(?)も籠や袋のことがあり、何を詰めるのか気になった。

野菜のスケッチは直接的にはおべんとうというわけではなかったが、普段何気なく使っていたり写真で見ても気づかないような注目ポイントが伝わってきて、今この時代でも観察の際はスケッチをする理由はこれだなと感じさせられた。

また、働く人々の昼食風景とお弁当という写真展示を「サラメシみたいだなあ」と思ったら、帰宅後調べたらどうやらサラメシの写真家さんらしくびっくりした。変に理想化されたりしていない、日々に根付いた「おべんとう」たちは飾らなくとも美しかった。おそらく今回の作品の中でいちばん好きだったのはここ。

 

次のコーナーは体験型で、貸し出しされた「精霊フォン」を携え内部を探検する。

f:id:lleeaaff:20181006205503j:image

吹き抜けになった広い空間にリボンの仕切りがたくさんあって、各スペースで中身が違う。リボンの質感や長さ・数などもそれぞれで設定されていた。

「お弁当の精霊」とその物語があちらこちらに配置されていて、それらを探しつつ好きな順番でまわる形式。ちょっと極端な内容もあって全面的には賛成しかねたが展示自体は楽しい試みだったと思う。

 

フロアを上がって《おすそわけ横丁》。「箱」「布」「おすそわけ」の空間は、多国籍風で無国籍風。

f:id:lleeaaff:20181006205542j:image

来場した人も希望があればここに実際に「おすそわけ」できる。ワークショップやポストカードの配布もあって、参加されることまで含んでの作品づくりとなっていた。

 

最後は再び写真と映像。

《お父ちゃん弁当》はいわゆるデコ弁で、弟に持たせるお弁当のデザインを姉が考案し父がつくる。そんなところまで?!と思うくらいにデッサンに対し忠実で、思わず笑ったものもあった。

f:id:lleeaaff:20181006205831j:image

見ると案外渋いというか、図鑑の知識を用いたような理科系のテーマが割とある。ジオ弁当、売って欲しい。

 

時間がなくて映像作品は見られなかったが、自分でお弁当をデザインしてみる体験コーナーは楽しかった。汁気の出るものやなまものは避けてカタチをつくるのは案外難しく、引き出しというか慣れと経験が必要だなあと思わされた。