光合成する本棚

こっそりひっそり

上野の森美術館 : [世界を変えた書物]展

入り口が本!次の部屋も本!最後まで本!

「最後まで本たっぷり!」の本の世界。[世界を変えた書物]展([世界を変えた書物]展 人類の知性を辿る旅|金沢工業大学)、上野の森美術館活版印刷登場以後の、あまたの書物の海の中から厳選された稀覯本たちで美しく、体系的に織り成されている。

 

金沢工業大学の協力により作り上げられた展示たち、無心に眺めるだけでも楽しい。

「知の壁」「知の森」「知の連鎖」「知の繋がり」の4部構成で、書物の展示は主に「壁」「森」で行われている。

 

前述の通り入り口が本。いきなり気分を上げてくれる。

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イントロダクション部分を抜けると天井に届く本棚の「壁」。建築関連の本がメインのコーナーである。

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フォトジェニックと話題らしいけど、それは完全に同意できる。薄暗い照明に木製の本棚、整然と佇む布張りの書籍、無限に続きそうな本の迷路、かっこよすぎる……。

 

アーチ(本棚の一部!)を抜けるともう「森」の中。科学や世界に関する発見・発明を記す初版本たちが系統立てられ並んでいる。

ここを通れば人類の叡智の歴史の断片を垣間見られる。

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ケースの底には鏡が貼られて表紙もしっかり見ることができる。

 

「森」の途上で「連鎖」が示される。

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過去の業績に敬意を持ちつつ戦って倒し、また自分も早く誰かに倒されたいのが科学なのかなとなんとなく思う。

 

「森」を抜けると「繋がり」に出る。これは「連鎖」の変奏にあたり、科学の系譜と時の流れを空間的に展開する。

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縦に吊るされた板のうちには、展示にあった本の一部の刷られたものもあり感慨深い。

 

電子書籍が跋扈しようと紙の書籍には力がある。元を辿れば手書きの写本、そこから印刷技術も上がって見た目はどんどん変わってきたけど、質量だけは残っている。手に持った重み、部屋を狭くする厚み、明かりがないと読めさえしない文字。手間のかかるものではあるが私はきっと手放せない。