光合成する本棚

こっそりひっそり

葉月、まだまだ植物ざかり。

葉月という名の由来については様々な説があるようですが、「葉っぱが落ちる月=葉月」というのが一番綺麗なように思います。

旧暦であれば季節の情景そのままでしょうが、現代の8月に名を当ててみればメメント・モリという気分です。どちらかというと落ちているのは蝉ですね。

 

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2018.08.18 読了

『ほんとうの花を見せにきた』

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桜庭一樹

文春文庫 2017年

 

「君、さてはバンブーだろ」

「あたしたちのこと知ってんの」

「夜歩き!人の血を啜り!生きた肉を食う!」

「……そうだよ」

(「ちいさな焦げた顔」)

 

竹の吸血鬼と人間のお話。

「バンブー」と呼ばれるその種族は、ひっそりと、夜の闇に溶け込んで、規律を守って暮らしている。(夜勤で働き血液パックを購入している。生きた人間は襲っちゃいけない。バンブーであることは誰にも内緒。)

 

吸血鬼だから日光で死ぬし鏡にだって映らない。歳はとらないし空は飛べるけど自分ひとりじゃ身だしなみだって整えられない。だからお互いを綺麗にしてあげる相棒を拾ってみたりもする。

 

人間と暮らせば大罪人、歳はとらなくても寿命はある、中国の山奥から遥々やってきた妖怪たち。

形式としては連作短編(中編?)集だが読後のダメージは十分長編。机に突っ伏して動けなくなりたい。