光合成する本棚

こっそりひっそり

文月、猛暑と平成最後の夏。

夏の気まぐれでブログを開設してしまいました。

だいたい前の月に読んだ本(、あるいは本以外のもの)から幾つか抜粋して月例更新できれば、と、思っています。続けば。

 

今回はお試しでとりあえず一冊。

書式とかもまあ模索中ということで。

 

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2018.07.14 読了

『十月の旅人』

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レイ・ブラッドベリ
伊藤典夫
ハヤカワ文庫 2016年

 

「魔女は死んだ」単調な声で、夫が言った。

「イイイイイイイイイイイ」と子供たち。
(「十月のゲーム」)

 

7月スタートでいきなりこのタイトルを選ぶのもどうなのかとは思ったけれどもしょうがないよ、良かったんだもん。

 

ジャンルや重さの多岐にわたる楽しい短編集。一編一編が短めなので気軽に読めるのも嬉しい。

初期作も含まれていたりと客観的に見れば個々の短編としての完成度はそれほど高くもないのかもしれないけれど、全体を通して読むと地味に同じ空気が感じられる気がしてなんかわくわくする。

 

いちばん好きだったのは引用にもした「十月のゲーム」。途中からなんとなく展開は読めるものの、きっと敢えてそうしてあるんだろうなぁという感じ。逃れがたい運命と避けられないバッドエンド。好き。

最後の最後はわりと普通ではあるのだけれど、直前2,3ページはかなり息苦しくてとても良い。