光合成する本棚

こっそりひっそり

国立新美術館 : 荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋

国立新美術館で開催中のジョジョ原画展(荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋)。

昨日ようやく行けたのだけれど、ずっと楽しみにしていたのでとても嬉しい。

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昨年夏は仙台で行われた原画展にも行っている。いずれも原画はかなりの割合で被っているし時期もそんなに離れていないのに、今回もまた最高に「ハイッ!」って体験をすることができた。

 

仙台のときは時系列ごとに各部がそれぞれまとまっていたが、今回はテーマごとに章立てされたつくりとなっていた。

前半部については特に「一本の長い廊下に付随した各部屋」をつくるような壁の立て方がなされていたので好きな順番で鑑賞できる。ジョジョという漫画作品の足跡・変遷を辿ったような前回の原画展に比べ、一つの世界としての「ジョジョ」を意識した構成であったと思う。

 

コラボ作品の展示というのもその一環のように感じる。一種の二次創作ではあるのだが、必ずしもジョジョのストーリーやキャラクターに依存していない「ジョジョらしい作品」群。概念としての「ジョジョ」を考えさせられる。

映像作品やファッション、彫刻と分野も様々でおもしろかった。映像を観られるのは1回限りということで少し緊張してしまった。

 

下の写真は「廊下」の部分の作品たち。これらは撮影可能となっていた。
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個人的な話、岸辺露伴が大好きなので『ルーブルへ行く』のパネルは軽く連写した。

 

等身大の書き下ろし原画『裏切り者は常にいる』も素晴らしかったが、個人的にはそのあとにあった漫画の原画にドキドキを持っていかれてしまった。

荒木先生の創作活動に焦点を当てた"ジョジョリロン"ゾーンを観ていたところ、ウルトラジャンプに連載中の、単行本にはまだなっていない話の原画が置かれていたので一瞬自分の目を疑った。ネタバレにもなってしまうためあまりちゃんとは観られなかったが、とにかくびっくりしてしまった。今回ばかりは単行本派であることに若干後悔を覚えかけた。ほんとうに荒木先生の「今」を追いかけた展示だった。

 

こちらは「OWSON」六本木店。美術館からは少し離れた、六本木ヒルズの付近に出現していたもの。アクリルスタンドやSPW財団のコンテナなどOWSON限定のグッズもあって、売り切れ続出なほど人気なよう。

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「地図にない道」は発見できず。ほっとしたような残念なような。

 

記念のお土産。キービジュアル(東京)のポストカードとランダム封入のコースターで、いずれも原画展会場で購入したもの。
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コースターは5枚セットで売られていたので、家族で買って山分けにした。裏向きに開けてくじ式にとったけどわりと当たりをもらったと思う。嬉しい。

 

手塚治虫さんに続く史上2人目、連載中の漫画家としては史上初となる「国立美術館で開催された漫画家の個展」。積極的に歴史に残していってほしいし、まだ先とはいえ終わってしまうのが勿体無い。

 

日本科学未来館 : デザインあ展 in TOKYO

家族5人で科学未来館デザインあ展(デザインあ展)に行ってきた。

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入る前からもうかっこいい。

 

企画展のスペースは"観察のへや" "体感のへや" "概念のへや"の3部構成で、それぞれがさらに複数のテーマを内包している。

 

まず"観察のへや"で一番好きだったのはこのたまご。
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『たまごの変身』というタイトルで、文字通りひとつの「たまご」が調理によって様々なものへと「変身」していく様子の展示。この付近のテーマはお弁当だったので、最後の盛り付け方もお弁当箱の中の配置になっている。

 

"体感のへや"は四方の壁がスクリーンとなった大きな部屋で、番組内でも放送のある『ガマンぎりぎりライン』『「あ」のテーマ』『解散!』『森羅万象』の特別版を観ることができる。全てを把握はできない前提であえて過多気味な情報量が逆に気楽で心地よい。音響も映像も大迫力で美しい。ぼーっと口を開けてこれらを眺めるためだけにでも来る価値はあると思うくらい。

ちょっと興味あるかもという人は、普通のバージョンであればNHK公式がYouTubeに上げてくれているようなのでそれを観てみてもいいかもしれない。

 

最後に"概念のへや"は『しくみ寿司』が好き。通常の「回転寿し」に加え、「歯車寿し」や「分岐寿し」など異なる「しくみ」のお店が並ぶ。お寿司を食べるお客さんの反応なども地味にしっかり描かれていて、微妙な解像度のドット絵も良い味を出している。

 

時間の都合で参加できなかったが『もんどころ』『デッサンあ』などの体験コーナーも楽しそうだった。来場者の描いたイラストが公式によって公開されたり、相互方向のコンテンツも多くイマドキだなあと思った。

 

それから、常設展示も好きなところには行けてよかった。

『アナグラのうた』のミーはこれ。
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今回はちゃんと全部の要素を集めきれた。

未来逆算思考は惜しくも2067年でゲームオーバー。ごめんよKK=101……。

 

おみやげはこれ。
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アクリルの「あ」。

デザインあが好きになると「あ」がかわいい。ほんとはキーホルダーのもふもふの「あ」もちょっと欲しかった。うーん、「あ」、かわいいなあ……。

 

東京国立博物館 : 縄文-1万年の美の鼓動

夏学期ぶんの提出物を昨日でようやく出しきって、晴れて完全に夏休みなので縄文展特別展「縄文-1万年の美の鼓動」(縄文展))に行ってきた。

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このところ博物館/美術館に割とこまめに行けている。博物館関係の授業を受けて、招待券で行ってみたりして、この歳になってまた改めて「博物館ってたのしいなあ!」と初心に返っているような感じ。

 

母・妹と行ってきたけど、招待券1+中学生1+キャンパスメンバーズ1で締めて1000円。中学生以下だと特別展も無料なこと、忘れていたのでびっくりした。

夏休みだし山の日なので朝からかなり盛況だった。博物館や美術館は1人でゆっくり観るのもいいけど、混んでいるときは資料毎・ケース毎に並んだりと時間がかかるのでちょっと話すような相手がいるのもありがたいなあと勝手ながらに考えていた。

 

HPの「みどころ」にあった国宝指定の6つのうちだと『縄文の女神』『火焔型土器』が好きだった。縄文の女神は前から見てもきれいだけれど、横から見ると美しいシルエットがより際立つ。腰とウエストが細くて薄い。好き。

仮面の女神』なんかも含めて土偶のサイズが想像よりも大きいことが多く、なんだかちょっと意外だった。手のひらサイズが多いイメージだったのだけれどなぜだろう……。小さいものも確かにあったけど、有名なやつは大きめだった。「百聞は一見に如かず」?

 

科博・西美の感覚で行くと規模の大きさに驚かされる。広い会場に程よい間隔で置かれた資料、動線がある程度自由なので混んでいても動きやすい。台やケースもさることながら、空間全体のデザインもとても美しかった。

基本的には写真は禁止となっていたが、撮影可能な資料もあった。最近このようなスペースの設置は多い気がする。全面禁止してこっそり撮られてしまうよりかは、一部選んで解禁したほうがガス抜きになるということだろうか。

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フィールドノートを買ってしまった、今度の野外調査で使いたいなあ。

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東博の広いというのは一応わかってはいるものの、実感として今だに若干飲み込めていない。常設もそのうちちゃんと行ってみたいな。

文月、猛暑と平成最後の夏。

夏の気まぐれでブログを開設してしまいました。

だいたい前の月に読んだ本(、あるいは本以外のもの)から幾つか抜粋して月例更新できれば、と、思っています。続けば。

 

今回はお試しでとりあえず一冊。

書式とかもまあ模索中ということで。

 

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2018.07.14 読了

『十月の旅人』

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レイ・ブラッドベリ
伊藤典夫
ハヤカワ文庫 2016年

 

「魔女は死んだ」単調な声で、夫が言った。

「イイイイイイイイイイイ」と子供たち。
(「十月のゲーム」)

 

7月スタートでいきなりこのタイトルを選ぶのもどうなのかとは思ったけれどもしょうがないよ、良かったんだもん。

 

ジャンルや重さの多岐にわたる楽しい短編集。一編一編が短めなので気軽に読めるのも嬉しい。

初期作も含まれていたりと客観的に見れば個々の短編としての完成度はそれほど高くもないのかもしれないけれど、全体を通して読むと地味に同じ空気が感じられる気がしてなんかわくわくする。

 

いちばん好きだったのは引用にもした「十月のゲーム」。途中からなんとなく展開は読めるものの、きっと敢えてそうしてあるんだろうなぁという感じ。逃れがたい運命と避けられないバッドエンド。好き。

最後の最後はわりと普通ではあるのだけれど、直前2,3ページはかなり息苦しくてとても良い。